映像分析2回目。
ここからは2004年の実写版映画「サンダーバード」の、メカ設定や建物などの環境デザインについて分析していきます。
映像に登場する順ではなく、ジャンルごとにまとめていきますので、何回かの連載になる予定です。
この映画が、少年少女を主人公とした青春映画の形をとっているので、まずその活躍する舞台となるトレーシー島から見ていきます。
トレーシー島の「おおっ!」
オリジナルとの違いは、ラウンジが出動時に大きく変形して指令室に変わること。
オリジナルでは壁の写真が制服姿に変わるくらいだったが、コンソールが現れて手形認証でシステムが立ち上がるシークエンスは緊急出動の緊迫感があふれている。
そしてこの映画では、父親のジェフも出動してブレインズが指令室に座ることになる。
メンバーは5人+アラン?
タイトルで制服姿の隊員が5人並んでその横に少年1人が立っていたので、その時点で人数構成を疑問に思った人は鋭い。父親と5人兄弟じゃなかったか? 初見だと画面の動きにとらわれて見逃してしまうのだ。

つまり父親+息子4人が出動隊員で、それに加えてまだ中学生の少年アランというのが、この世界の設定。
オリジナルでは隊長父親ジェフ+隊員5人の息子という設定だが、実写版では改変部分を最初にちょっとした謎としてタイトルで提示してくれている。
トレーシー島の初めて見る設備
以前からあったが、登場するのは今回が初めてで「おおっ!」と思ったひとつが、1号の噴射炎排気ダクト。

実際のロケット打ち上げでも炎とともに噴射煙(と冷却用水の雲)が盛大に吹き上がっているが、これを逃がすダクトがトレーシー島の発射施設にも備わっている。設定資料に1,2,3号共に記述がある。
ただ、オリジナルの劇中では描写されていなかった。
それを実写版ではしっかり見せてくれた。島の外側の岸壁から海に向かって盛大に炎を噴き出している。そのダクトの中を炎に追われながら脱出する少年少女達のアクションシーンの舞台として使われた。
ハラハラドキドキのシーンだが、彼らが黒焦げになっては話が終わってしまうので、すれた大人の私は安心して見ていた。それより岸壁で火を噴くダクト排出口にときめいてしまった。
そうだよこれこれ! いままで発射の度に人知れずこうやって火を噴いていたんだと、感慨ひとしお。

そして次の「おおっ!」が、衛星通信のアンテナ。
5号との通信を回復するために、3人がジャングルを歩いて山の上のアンテナまでたどりつく。
苦労してアンテナに行くというシーンは、エイリアン2のアンドロイド、ビショップを思い出す。
オリジナルでも設定には屋外のアンテナはあったが、劇中に登場することはない。
まして山の上にヤシの木に擬装されたアンテナが立っているのは、完全に実写版の新規描写だ。
そして川やジャングルの中を苦労して歩くというシーンも、オリジナルにはない。
島は建物や施設以外はジャングルだから、背景としてはいつも目にしていたが、それだけだ。
つまり、まだ国際救助隊の隊員でない彼らが活躍する舞台は、この時点ではジャングルの中なのだ。
アンテナのあと、ホバースレッドで林の中を駆け抜けるシーンもある。
ちなみにオリジナルでは、ホバージェット・ホバーバイク・空中バイクと呼ばれていたものだ。
スクラップになっていたものを引っ張り出してくるのだが、なぜここにスクラップがあるのかは劇中で説明されていない。ちょっと思いつくこともあるので、最後の方で妄想を語ることにする。
ブレインズもどきの正体

ここでブレインズそっくりのアランのクラスメイトについて解説しておく。
メカではないが、主人公の一人が謎の級友のままでは話が進みにくい。
彼の名前はファーマット。ブレインズの息子だ。映画冒頭から20分あたりで親子そろって出てくる。
ああ、やっぱりブレインズは大人だよね、とホッとする。
実写版新登場のファーマットはオリジナルのブレインズを彷彿とさせる青縁メガネ。
ブレインズ本人は、前髪は相変わらず後退していたが、ウエリントン・グラデーションタイプの控えめな眼鏡に変わっていた。
これは一種の引っ掛けで映画スタッフのお遊びだ。
よく考えたら、サンダーバードが大好きというだけで、友達が春休みにホイホイ島までついてくるのがおかしい。きっと島が自分の家なのだ。
学校でペネロープが「連れていきたいお友達は?」と聞くとアランは「ファーマットだけ」と答える。
このシーンでは、3人ともちゃんと分かっていて、級友たちの前でお芝居をしていたのだ。
ちなみにあの学校は、春休みで家から運転手付きのお迎えの車が来るくらい当たり前の名門校、という設定。
だから、はいはい!と全員が行きたいと手を上げてもパニックにならず、さらりとかわしてFAB1に乗り込む。
さて次回からはメカに感じた「おおっ!」の話。新1号から順に解説していきます。


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