ジョンが1か月の5号当直を終えてトレーシー島に帰ってきた。
ラウンジのソファがせりあがって定位置に収まる。
「おかえり」「おつかれ」待っていた皆が声をかける。
「ごくろうさま」ミンミンがジョンの横に置いてあったダッフルバッグを手に取ると
「これ、洗濯しとくわね」「ありがとう」
1か月ぶりの帰還なので、気分的には部屋に入ってきてソファにドッカリ腰を下ろすところだが、3号はソファに座ったまませりあがって部屋に戻ってくることになる。
「ねージョン、お土産はぁ?」ゴードンが甘えた声を出す。
「なんだそれは。昔のアランか」
「そう。アランは交代で上に上がったから、代わりにぼくちゃんが」
「アランがまだ子供の頃、よくそんなこと言ってたな」
「ねえねえ、お土産ないの? 青い恋人とか軌道バナナとか」

「ないっ。5号には売店もコンビニもない」
「あっても一人で店員さんとお客さん二役やらないといけないもんな」
ジョンはソファから立上がると、ジェフの前で背筋を伸ばして不動の姿勢を取り
「ジョン・トレーシー、ただいま帰投しました」
「うむ。任務ご苦労さん。今日はゆっくりしてくれ」
「それで今日は土産があります」
ソファに置いたもうひとつのバッグを開けると、フードパックを取り出す。
「えっ! 本当にお土産あるんだ」ゴードンが立ち上がる。
「ほう、めずらしい」ジェフもソファにやってくる。
ジョンがローテーブルに置いたのはこれ。

「うわ、トマトだ!」
「5号の栽培室で採れたトマトだよ。持って帰ってくるのは初めてだな」
小ぶりだが真っ赤に熟れたおいしそうなトマトだった。
「いただきまーす」ゴードンが素早くひとつ口に放り込む。「おお、甘いぞ!」
「うまいな」スコットが口を開く。「このシールの3号ってのは何だ?」
「ああそれは」ブレインズが口をはさんだ。「栽培を始めてから3世代目でおいしいのができたってことですよね」
「いや」ジョンが言う。「赤いから。3号と同じ色だろ」
一同一瞬口が止まる。
「センスなさすぎだろ」バージルがボソッとつぶやく。
名前の評判は良くなかったが、トマトはその日の夕食を待たずになくなってしまった。


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