
2号の尾翼は特徴あるV字尾翼だが、模型を囲んで動翼が見当たらないという話が盛り上がっていた。
ゴードン「ラダーベーター? そんなの最初から動くに決まってる。みんな見落としてるだけだ」
ブレインズ「図面にはちゃんと書いてあるよ」
バージル「……俺、何十年も乗ってるんだけど」
ブレインズ「君が直接動かしたことはないからね。飛行制御が自動でミキシングしてる」
バージル「…………」
ゴードン「ほらな」
そして模型を見たミンミンが、
「じゃあ、なんで今まで筋がなかったの?」
しばし全員沈黙のあとブレインズが口を開いた。
「あの、それは動翼の隙間を最小限まで追求して、無駄な空気抵抗を抑えるため、ヒンジ部には――」
「ちゃんと飛んでりゃ何だって良いだろ」とさえぎるゴードン。
「……まだ説明の途中です」
「何10年飛んでると思ってるんだ。十分だろ」
「俺はちょっと聞きたい」と目を輝かせてバージル。「今までなんとなくやり過ごしてた」
「兄さんはちゃんと操縦できてるからいいんだよ」
ブレインズとバージルが技術論をごちゃごちゃ言い始めたので、ゴードンが面倒くさそうに二人を遮った。
「2号には皮膚があるんだよ」
「……皮膚?」
「そう。中に硬い動翼があって、その継目を柔らかい皮膚がツルッと包んでるんだ。だから外から見ても継目がない」
「あの」ブレインズが口を開きかける。
「イルカとか泳ぐの速いだろ。あれと同じだ」
一同、ふたたび沈黙。
バージルが目を丸くしてゴードンを見る。
ブレインズも何も言わない。
ゴードンは満足そうにうなずいた。
「ほら。解決した」
「その話、あながち間違いでもありませんよ」とブレインズ。
「ただし音速を超える領域では衝撃波で表皮が波打つ現象が現れて、最悪剥離か破断。あと熱をどう逃がすか――」
ゴードンが背伸びをして立ち上がった。
「あー腹減った。今夜はサーモンのステーキが良いな」
「まだ表皮の話が―」とブレインズ。
「皮はパリパリに焼いてくれ」
一同三度目の沈黙。
「……皮膚の話はどうした」真剣に聞いていたバージルが言う。
「だから皮の話してるだろ」


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