2号はV字尾翼機か

V字尾翼

V字尾翼。水平尾翼と垂直尾翼の機能をV字型に並べた2枚の翼に持たせたものだ。

イラストは、ボナンザ35。

水平尾翼と垂直尾翼を持つ航空機だと、それぞれに動翼があり、エレベーターとラダーと呼ばれる。V字尾翼では両方の機能を組み合わせた、ラダーベーターと呼ばれる動翼がついている。

左右のラダーベーターを同方向に動かせばピッチが変化して機首は上下に、異方向に動かせばヨーが変化して旋回する。

2号の尾翼

2号の尾翼は、御覧の通りV字尾翼の形をしている。

2号の機体は、中央部にコンテナを抱く井桁状の構造をしているため、原子炉のある後部ドームの中央に垂直尾翼を立てるよりは、両側に2枚の尾翼を立てる方が有利だったのだろう。

それにもうひとつ、尾翼はエンジンを支えなければならない。
幅いっぱいの大きな箱状のエンジンを2枚の尾翼でしっかり支える必要がある。

2号はVTOLなので、下向きの推力を持つノズルが複数ある。巡行時はこれらのノズルの推力偏向とV字尾翼の組み合わせで姿勢制御をおこなっていると考えるのが自然だ。

尾翼の上に大きなエンジン箱がついているので、ひょっとしてこれが尾翼の動翼の代わりをするのかという想像もできる。しかもエンジン箱は4つのブロックに分かれているので、これを左右で推力偏向させれば旋回できるのではないかと。

左右の旋回は、低速時に効果をあげそうだ。VTOL時は対地速度が低いので、翼で有効な姿勢制御は難しい。

そして4つのエンジンブロックが、串カツのようにピッチ軸に沿って上下回転すれば機首を上げ下げできるのではないか。

しかしこれは、薄い尾翼2枚で大きな重いエンジン箱を支える構造では、さらに負担を増やすだけだ。軸に沿って各個動かすための機構が必要になるし、それでなくても尾翼の中にはエンジンへの各種配管が通っており、それを回転させるとなると大ごとだ。

仮にそれらの問題が解決できたとして、せっかく箱エンジンが回転するのだから、VTOL時に下を向けてホバリングの手助けをしようとするとどうなるか。

ちょうど真下には赤い筒状のメインノズルがある。自分が燃えてしまう。

ということなので、このエンジン箱は、しっかりと尾翼に固定して、エアブレーキを展開するかスラストリバーサーでVTOL時に後退推力を得るくらいにとどめておくのが無難だろう。

動翼が見当たらない問題

映像ではどう見ても2号の尾翼に動翼らしき筋は見えない。

実は動翼を持たないV字尾翼機もある。

これらのV字尾翼機は尾翼に動翼を持たない。尾翼が丸ごと根元から動くオール・フライング方式だからである。

高速域では通常の固定尾翼+動翼方式では効率や操舵性に制約が出るため、戦闘機では尾翼全体を動かす方式も広く使われている。

ではやはり、サンダーバード2号もオールフライング尾翼で、動翼の筋が見当たらないのも当然なのか?

これは2号の場合、少々事情が違う。

・胴体全体が翼の役割をするリフティング・ボディを持ち、通常の飛行機と同じではない
・VTOL機なので、翼以外に姿勢制御できる多数のノズルを持っている

これらのシステムをフライ・バイ・ワイヤでコンピュータが的確に処理し、パイロットは操縦桿やペダル、スロットルレバーを通して意思表示をするだけでよい。

尾翼の上に大きく重いエンジン箱がついていなければ、オールフライングもありだ。

しかしこの構造のままでオールフライングにしようとすると、機体と尾翼の間、尾翼と箱エンジンの間の2か所に軸構造が必要となり、尾翼への負担が大きすぎる。

目立たないが動翼はある

動翼と翼本体の間に隙間が大きいと、空気の流れが乱れて利きが悪くなる。特に翼の表裏で空気が漏れてしまうとよろしくない。

そうならないようにシールやパネルで対策がされている。

2号の場合は大変高度な隙間処理がされて、チリがほとんど見えない状態まで追い込んであると解釈するのも一興だ。

VTOL時には翼によるコントロールはほとんど効かないので、別の問題が起こってくるが、これはまた別の記事で考察する。

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